長く通販事業の「販売」に携わっていますが、通販=無店舗販売ゆえ、別の言い方をすると「企画」ということになりましょうか。
最近では「マーケティング」、それに関わるひとを「マーケッター」と名づけられていますが、個人的には少し、違和感を感じています。
マーケティングって?
この言葉が出始めたのは、1990年代でしょうか。当時の勤務先で「マーケティング部」なるものが新設されたときは、
なんだかわからないけどかっこいいな~
って思ったものです(当時は「市場調査」イメージしか結びつかなかったけど)。
そもそもこの言葉、具体的に何を表しているのでしょう。
コトラーによると、
「どのような価値を提供すればターゲット市場のニーズを満たせるかを探り、その価値を生みだし、顧客にとどけ、そこから利益を上げること」
...わからない。
さらに、
「マーケティングと販売は、ほとんど正反対とも言える活動だ」
反対?
...勝手に解釈すれば、
「売り手側の『販売』によるものではなく、買い手側の『行動』が自発的に発生するような仕組みを完成させる」
ということでしょうか
語られる「マーケティング」って...
昭和世代の、その言葉が存在しなかった頃を知っている私には、「マーケティング=市場」という結びつきが強くあります。確かに「市場に価値を創造する」という解釈もできそうです。
実際に、今、語られている「マーケティング」って、「販売」に近い意味であることが多いように思います。通販の現場は、現実的に「販売企画」です。
一方で、「お勉強的に」マーケティングが語られることも少なくありません。フレームワークを使い、カタカナを多用し、アルファベットも...
正直言うと、この「読み物としてのマーケティング論」を体感すること、つまり、このフォーマットで得た知識を現実の「販売」の世界で活かしきれたことは少ないんです。考え方として身につけておくことはとても大切だとは理解しつつも、現実には...
「マーケッター」って誰?
個人的には、通販やECの現場に長くいて、「売上」や「件数」を追い求め続けてきました。100点満点ではないのですが、失敗例の半分くらいの成功例も(一応)あります。
そんな私は「マーケッター」なのでしょうか?個人的には、そう呼ばれてもピンとこない、というか、それほどうれしくないというか...つまりこれまでの行動は「販売」に近いので、
コトラーのいう「マーケティングと販売は、ほとんど正反対」という定義からすると、マーケティングしてない、ということになります。
自分でも「今月はマーケティングしたなあ」って思ったことは一回もなく(そりゃそうですよね)、「今月は○○件に到達したなあ」ということに感動感激してきました。これが次への原動力になっていました。
これは「マーケティング」と正反対、なのでしょうか...
販売と同義でよいんじゃないかなって
私は「マーケッター」ではなく、「販売担当」です。仕組みを作り上げるよりも、新規集客向けの広告で成功するよりも大事なことは「販売」であるからです。
売上を追い求める、ってなんだかガツガツな(悪い)印象があるかもしれません。
でも、
お客様がお支払いいただける金額って、私たち提供側への「評価」なんです。
商品やサービス、思いや価値を、どれだけのお客様に伝えることができたか、という意味で考えるとしっくりくるかと思います。
事業を進めていく上では「販売」の指標はもちろん大切な目標ですし、いずれの行動も最終的にはここに向かって進んでいくべきでしょう。
だから、これからもやっていくのは「(お勉強の)マーケティング論」ではなく「販売」です。
「マーケッター」を目指すひとたちへ
若い方が、「将来やりたい仕事」という問いに、「マーケティングです」と答えることも、当たり前のようになりました。特に「デジタル領域」になると、ちょっと専門的な領域のように思われ、専門用語を使いこなせることが、スマートな、かっこいい印象もあるかと思います。
ですが、デジタルであろうとなかろうと、「マーケティング=販売」することは、けしてスマートではないんです。
お客様に大事なお金を使ってもらうこと、とても難しい。けっして簡単ではありません。
泥臭い、愚直な、継続的な行動、ここにしか答えはありません。
スマートにこなしている、ように見える人も、それはかつて泥臭かったから、今があるんです。
一歩一歩、です。歩き続けること。
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